日時
日時 2024年6月23日(日)14:00〜16:30
場所 関西大学堺キャンパス SA501
テーマ
部活動の休日地域移行の問題点 -新自由主義的な政策の行方ー
開催趣旨
本シンポジウムでは, 令和5年度(2023)から3年間で段階的に進められている部活動の休日地域移行について検討する。部活動の地域移行という政策は、文部省(現文部科学省)が 1995 年に行った総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)に関する政策と同様に新自由主義的な政策として捉えられる。部活動は、これまで学校の教師がほぼボランティアで超過勤務しながら運営されてきた。部活動を総合型クラブや民間スポーツクラブなどの外部の指導者に委ねることは、「公共」から「民間」あるいは「公設民営」等への組織と指導者の移行である。民間の外部指導者等に指導を委託する際には、謝礼を支払う必要があり、保護者による受益者負担、国や地方公共団体からの補助等で賄うことが検討されている。部活動の地域移行が検討される中で、民間企業や総合型クラブ、地域の指導者の参入は不可欠であり、地域の実情に応じた部活動支援について検討する必要がある。
本学会では 2024 年 2 月に、片岡栄美先生(駒澤大学)を講師に迎え、「子どもの社会階層とスポーツ参加」というテーマで研究セミナーを行った。片岡先生は、関東地区の小中学生を持つ母親へのウェブ調査結果に基づき、世帯年収や親の学歴と子どもの学校外活動への参加状況に大きな違いが生じていることを報告した。つまり、家庭の経済状況によって子どもの学習、スポーツ参加、芸術活動への参加には大きな格差が生じており、部活動の地域移行が進むことで中学生年代でもこうした格差が広がる危険性がある。本シンポジウムでは、教育社会学、体育社会学を専門とする講師と民間スポーツ団体の実践者に部活動の地域移行に関する問題点を指摘していただいた上で議論を行う。本シンポジウムでは、地域移行に伴う経済的な負担を誰がどこまで負担するべきかについて検討する。
登壇者
中澤 篤史(早稲田大学)
「地域移行政策の背景整理-その成否と是非を考えるために-」
西島 央(青山学院大学)
「教育福祉としての部活動-教育社会学からみた部活動の意義・役割・機能-」
木原 靖之(GFI アカデミー)
「部活動地域移行政策が及ぼす現場の状況と具体的な対策」
【指定討論者】
大沼義彦(日本女子大学)
【司会】
千葉直樹(中京大学)