日本体育社会学会を共に創る

 日本体育社会学会 会長
 (一社)日本体育・スポーツ・健康学会
  体育社会学専門領域 代表

   松尾 哲矢(立教大学)

 2023 年 4 月 1 日、日本体育社会学会が創設されました。本学会は、(一社)日本体育・スポーツ・健康学会体育社会学専門領域と連結した独立学会として創設されたものです。これまで本学会の創設に向けて、お導きくださいました代表の菊幸一先生、山口泰雄先生、創設準備に中心的に取り組んでくださった学会員の皆様、またお支えくださった関係者の皆様に心より厚く御礼申し上げます。
 本学会の歴史的経緯をたどりますと、1950(昭和 25)年日本体育学会が創設され、1962(昭和 37)年に有志58 名で体育社会学専門分科会(のちに体育社会学専門領域)が発足しました。2021 年 4 月から日本体育・スポーツ・健康学会となり、体育社会学専門領域の会員数は、346 名(2023 年 5 月8 日)となっています。歴代の分科会(専門領域)会長・代表は、浅井浅一氏、竹之下休蔵氏、菅原禮氏、粂野豊氏、佐伯年詩雄氏、池田勝氏、江刺正吾氏、森川貞夫氏、川西正志氏、山口泰雄氏、菊幸一氏、各氏が務めてこられました。これまでの体育社会学専門領域の取り組みを生かし、さらに発展させるべく日本体育社会学会が創設されたこと、この歴史的な取り組みの上に本学会があることを踏まえて、新しい学会創りに真剣に取り組む必要があります。
 本学会は、独立した学会ですが、(一社)日本体育・スポーツ・健康学会体育社会学専門領域と連結した学会ですので、展開の仕方によっては、どちらかに力点が偏ることもありえます。新しい学会と専門領域の双方の良さを最大限に生かし、体育社会学の学的進展と界としてのプレゼンスを高めていくためには、学会運営力、研究促進に向けた創造力が求められます。
 学会運営力に関しては、理事長:高峰修会員、事務局長:石坂友司会員、事務局次長:水上博司会員、石澤伸弘会員、会計担当:工藤康宏会員、広報担当:常行泰子会員を中心に、新しく理事になってくださった学会員の皆様と力を合わせて進めてまいります。それぞれに学会運営に長けた皆様ですが、学会員の皆様の協力なしにより実りあるものにするのは困難です。皆様で知恵を出し合いながら、新しい袋に実りを与えていただければと存じます。
 新しい袋にどのような実りを入れていけるのか。研究促進に向けた創造力が求められます。6 月に開催されます日本体育社会学会大会、8-9 月に開催されます(一社)日本体育・スポーツ・健康学会体育社会学専門領域での事業、さらには年間を通して実施される研究セミナー等について、それぞれ特徴づけながら、いかに生かしていけるのか、そして、全体として統一感のあるものに仕上げられるのか。簡単ではありませんが、やりようによっては、これまでにない新しい取り組み、会員の皆様の研究上の触媒機能が果たせる学会になり得るものと思います。
 体育社会学の大きな魅力は、領域の独自性(学校体育、体育授業、運動会、学校運動部、社会体育(地域における体育)、生涯を通した運動と体育など)とともに、理論と実践が近いことであり、実践から課題を引き出し、理論化するなかで、実践を意味づけし、時には実践に生かせる視点を提示する。この理論と実践の往還運動にあろうかと思います。
 この2 年間で実施すべき取り組みは多岐にわたりますが、学会運営を軌道に乗せることはもとより、新事業として始まった「体育社会学テキスト」(テキスト出版編集委員会、委員長:松田恵示会員)の作成(2024 年度発刊予定)、若手会員の増員と活躍の場の提供、シニア会員の学会での活動の場の提供、他学会との連携事業の展開など、新しい取り組みを積極的に展開していけたらと考えています。
 体育社会学専門領域での活動をさらに発展させ、日本体育社会学会という新しい界を生かして会員各位のさらなる研究の発信と交流の場とすること、もって体育社会学「界」のプレゼンスを高めることが新しい学会を創設した意義だと思います。
 皆様で新しい学会、創ってまいりましょう。