体育社会学専門領域 2018年度研究会のお知らせ

(一社)日本体育学会体育社会学専門領域
会員各位
 
このたび体育社会学専門領域では、2018年度の研究会を以下のように企画いたしました。
つきましては、多くの会員の皆様にご参加いただきたく、ご案内申し上げます。
参加ご希望の方は、下記参加申込フォームより手続きをお願いいたします。
皆様の参加をお待ちしております。
 
 
1. 日時:平成30年8月23日(木) 13:00-16:00 懇親会 17:30頃から
2. 場所:とくぎんトモニプラザ(徳島県青少年センター) アクセス
3. 参加費:1,000円   
4. 懇親会費:4,000円(学生:3,500円)
5. 参加申し込み: https://goo.gl/forms/vTvlipNBTOZRrskn1
  ※8月13日(月)までに上記のgoogleフォームに必要事項を入力して送信ください. 
6. テーマ:教員の働き方改革におけるスポーツ活動の問題と保健体育教師のアイデンティティ
7. 内容:
【登壇者】
下竹亮志 氏(筑波大学体育系) 「運動部活動の指導者は何を語ってきたのか」
谷口勇一 氏(大分大学教育学部) 「部活動と総合型地域スポーツクラブの連携『失敗』からみえた教員文化」
石坂友司 氏(奈良女子大学生活環境学部)「学校のスポーツ活動が地域や社会空間に与える影響と教師の社会的機能」
【コメンテーター】
北村尚浩 氏(鹿屋体育大学体育学部) 原 祐一 氏(岡山大学教育学部)
【司会】    
高橋義雄 氏(筑波大学体育系) 
 
8. 前年度(2017年度)の経緯:
 2016年度の体育社会学専門領域プレセッションにおいて、「体育社会学の今後の在り方について考える」と題した井上俊先生のキーノートレクチャーでは、「体育社会学」という学問領域の固有性が、「体育」という教育事象への関心によって担保されているのではないかという事が取り上げられた。この点からすると、近年の体育社会学領域での研究では、特に「学校」へのまなざしの弱さは、指摘しうる一つの研究傾向になっていると思われる。
 ところが、社会の変化に伴う教育政策等の変化も大きく、「学校」に関わる体育やスポーツ事象についての実践的な研究ニーズは、近年むしろ高くなっているところがある。そこで、昨年度のプレセッションでは、「体育社会学における学校体育研究の成果と課題」というテーマのもとに、4つの視点を立てて研究関心を呼び起こそうとした。
 学校体育に対して、体育社会学がまずこれまでどのような知見を蓄積し、どのような今後の可能性を秘めているのかを探るという視点。次に「体育科教育学」が成立したことによって起こった「体育」を対象とした研究の変化と矮小化いう視点。さらに三つめとして、「学校体育」における、教育とスポーツの矛盾する関係についての視点。最後に、現代的教育課題との関係から、特に社会教育との連携という視点、の4つである。
 昨年度のプレセッションでは、多様に広がる研究課題に対するあらためての認識と、個別な報告に対する質疑応答は行われた一方で、限られた時間の中では、それらが一定のエネルギーを持って研究関心を呼び起こすまでの議論には至らなかった課題を残した。
 そこで、本年度のシンポジウムならびにプレ・シンポジウムでは、体育社会学における「体育」や「学校」に対する研究関心を広げていくために、「体育(教育制度)の近未来的変容」と、「教師(体育教師)の働き方改革」問題の2つの内容についてさらに焦点づけて取り組んでみたい。
 
9. 本年度プレセッションの趣旨
 「ブラック部活動」の問題が社会的に大きな関心事となる一方、関連しつつも他方では、学校教員の「働き方改革」が大きな社会的課題として取り上げられている。教師文化や学校文化の持つ問題点、保護者や地域が持つ問題点など、「部活動リスク」をめぐってなどの議論がメディアを通して活発に行われ、部活動をめぐっては様々なガイドラインや部活動外部指導員制度の整備など新たな制度設計が始まっている。こうした取り組みは、学校教員全般の働き方改革の問題に強く繋がりを持つものである。
 ところが、このような部活動をめぐる議論の中で、部活動反対論を唱える多くの教師の声が取り上げられる一方で、部活動に熱心な教師の声は比較的とりあげにくい状況もなくはない。メディアの持つ政治性や、高度に情報化した現代社会の持つ課題という面も含めて、さらにはそもそも、保健体育教師の職業的アイデンティティ形成にとどまらず、個人史としての問題も含めて、体育社会学からの取り上げ方は、おそらくもう少し広さと深さを用意することが期待されるところである。
 そこで、本プレセッションにおいては、社会空間、伝統、総合型地域スポーツクラブ、若者スポーツ、教育的価値などの観点から、体育という教育営為の機能についてあらためて整理するとともに、教員の働き方改革という問題の背景をスポーツ活動・部活動との関係から社会学的パスペクティブから深く探り、保健体育教師のアイデンティティや、そもそもスポーツ活動を教育的な営みの中で受け取っている子どもたちの視点からも議論を広げ、今後の研究関心を触発することをねらいとしてみたい。
 
(文責 松田恵示 研究委員長)